はさみ将棋の結論は引き分けだと思います

 何年か前にWikipediaに後手必勝という記述がありしばらく混乱してましたが、2017年3月現在では引き分け(先手後手どちらにも負けない方法があり、必勝法はない)が結論となっています。
 私もその結論が正しいと思っていましたのでここで単純な考え方をメモしておきたいと思います。


 まず、基本的な引き分け戦略について示します。

f:id:accs2014:20170319162029p:plain:right:w200

 先手、後手双方とも図1のような形を目指します。
 図1からは▲9九歩右△1一と右▲7九歩右△3一と右、まで一直線になります(図2)。


f:id:accs2014:20170319162028p:plain:right:w200

 これは、相手が何をどうしようとも隅の駒を往復してさえいれば取られないという不敗形です。例えば図1から▲9九歩右に対し△7九と、と突っ込んでも▲8九歩左で取られて後手必敗に陥りますので、図1の時点で事実上引き分けが確定します。


 さて、あとは図1のような形を互いに阻止されずに実現できるかどうかですが、まず先手側の手順を示します。

f:id:accs2014:20170319162027p:plain:right:w200

 初手は▲9八歩とし、次に▲1八歩上とします(図3)。あとは▲8八歩上か▲2八歩上のいずれかで図1の形が実現します。


f:id:accs2014:20170319162026p:plain:right:w200

 これを後手が阻止するとすれば2手目で△1八と、が考えられます(図4)。先手は▲2七歩とアタリにしますが(図5)、ここで後手が1八の駒を大きく引いてしまうと▲1八歩上で阻止に失敗しますので、△1七と、とします(図6)。


f:id:accs2014:20170319162025p:plain:right:w200


f:id:accs2014:20170319162057p:plain:right:w200

 図6では先手にアタリがかかっていますのでここから▲2八歩引△1八と▲2七歩△1七と、の繰り返しとなります。先手の不敗形の確立には至りませんが、千日手ですのでこれでも引き分けとなります。


 初手▲9八歩に対し後手が△2八と、と応じても▲1八歩で追い払うことができ、不敗形に進むことができます。他にも特に後手の有効手はないことから、先手の引き分け戦略は阻止されず成立することがわかります。


 次に後手の手順です。
 初手で先手が3段目まで突っ込んでこなければ、上記の先手の手順と同じように引き分けにできることは明らかです。

f:id:accs2014:20170319162056p:plain:right:w200

 初手が三段目への進出であったら、それに近い端の駒を1段進めます(▲5三歩に対してははどちらでもいいです)。例えば▲8三歩に対しては△9二と、とします(図7)。△1二と、としたくなるかもしれませんが次に▲9二歩とされてしまい狙い通りにいきません(図8)。


f:id:accs2014:20170319162055p:plain:right:w200


f:id:accs2014:20170319162054p:plain:right:w200

 また、初手が2段目への進出であったら、それに近い側のなるべく端の方の駒でアタリをかけます(▲5二歩に対してははどちらでもいいです)。例えば▲8二歩であれば△9三と、とし、▲9二歩であれば△8三と、とします(図9)。先手が歩を大きく引けば不敗形に進めますし、図9のケースでは▲9三歩と引くことも考えられますがそこから△8二と▲9二歩△8三と、と千日手になります。


f:id:accs2014:20170319162053p:plain:right:w200

 初手から▲8二歩△9三と▲7三歩という進行も考えられますが(図10)、取り合いには応じず冷静に△1二と、として不敗形に近づけます。



f:id:accs2014:20170319164515p:plain:right:w200

 また、初手から▲8三歩△9二と▲1二歩(図11)といったように両端で手が進むことも考えられますが、基本的に上記の手の組み合わせで対応でき(この例では△2三と)、後手は不敗形もしくは千日手に持ち込むことができます。


f:id:accs2014:20170329234532p:plain:right:w200

 複雑になる例としては初手から▲9二歩△8三と▲9三歩△8二と▲1二歩△2三と▲9二歩(図12)がありますが、これも△9三と▲2一歩と取り合った上で後手が不敗形を確立します(図13)。


f:id:accs2014:20170329234531p:plain:right:w200


 結局、後手の引き分け戦略も阻止されず成立することがわかります。

 以上により先手と後手がそれぞれ(阻止されようのない)引き分け戦略を持っていることとなりますので、結論は引き分けとなります。
 ちなみに先手も後手も同じような説明にしたいという都合により、先手が千日手を選ぶ手順を含めて示していますが、先手は▲9七歩、▲1八歩、▲8八歩右とか、▲9七歩、▲1八歩、▲8八歩上といった手順により確実に不敗形を築くことができます。