調整水田

 全国的に田植えの時期が終盤を迎えています。

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 さて、この画像の手前部分のように、田んぼの一部に苗が植えられていないのを見たことはないでしょうか。
 田植え中に苗が足りなくなったのかと思われるかもしれませんがそうではなく、これは意図的なものです。
 現在、米の生産自体は自由に行えます(販売や検査については専門の機関にお問い合わせください)。しかし、国が毎年設定する生産目標があり(米価を維持するための抑制的なもので、裏を返せば減反目標です)、これに基づき各地域、さらに各農家に対して、米の作付面積・数量が割り当てられています。この割当てを超える生産を行うと、米の作付けに対して支払われている国からの補助金が受けられなくなるのです。この割当てを超えて米を生産すること自体は可能ですが補助金がないと収益的に厳しいものとなるため、多くの農家はこれに従って米の作付けを行っています。
 割当ては平方メートル単位で行われますので、田んぼの一部を作付けし、割当てのギリギリまで作付けを行う場合もあり、その残った部分がこのような水面となります。このような水面部分は、制度的には調整水田と呼ばれています。生育の悪い山際や取水口付近が選ばれることもありますし、立入検査に備えて目立つところが選ばれることもあります(1枚の田んぼがすべて調整水田となることもあります)。

 ところで、米の作付けに対する補助金も、国による生産目標の設定も今年度つまり平成29年度までで終了することとなっています(転作に対する補助金制度は残ります)。これが米の生産にどう影響し、農家はどのように作付けを行うべきなのか、いまだ模索が続いているようですが、もしかしたらこのような調整水田にはお目にかかれなくなるかもしれません。