バーのすすめ

 年末年始は酒の付き合いが多くなります。もう酒はたくさん、しばらく休みたいという方も多いかもしれません。
 しかし、それでお酒が嫌いになってしまうのはもったいありません。宴会続きに疲れて一人になれる場所が欲しいあなた、上司や同僚との酒の注ぎ合いにうんざりしているあなた、そんなあなたこそバーに足を踏み入れてみるべきです。

目次

バーは難しくない

 バーというとやはり大人のイメージがありますし、いわゆるオーセンティックバー(カウンター席がメインの正統派バー)は特に若い方にとってハードルが高いように思われるかもしれません。確かに窓も何もなく扉しか見えないバーなどは踏み込むのに多少の勇気が要ります。
 しかし基本的にはお酒を楽しむ場所です。一度入ってしまえばこんなに落ち着いた空間が広がっているのかと逆に驚くと思います。バーテンダーさんもサービスを心得ていますので、不慣れなお客にも居心地の悪い思いをさせることはありません。
 ただ、ありとあらゆるバーが安心して楽しめる場所とまでは保障できませんので事前の下調べはしておくべきですし、スマホがあればお店の情報はいくらでも手に入るはずです。
 また、どうしても二の足を踏んでしまう場合は、より開放的なダイニングバー(食事ができ、テーブル席がメインのバー)から入ってみるのもおすすめです。2次会場にも適しているので日時によっては酔客で混み合ってしまうこともありますが、カウンター席を備えたダイニングバーであれば酒場の雰囲気にも早く慣れることができると思います。
 

マナーにも厳しくはないが静かに楽しむ

 バーはマナーに厳しいという印象もあるかもしれませんが、特別なマナーはありません。あえて言えばバーテンダーをバーテンと呼ぶべきでない、ボトル(使用中のボトルがカウンターに置かれる場合があります)に無断で触るべきではない、というお約束はあるものの、これらもウンチクみたいなもので、常識的にふるまっている限り何も問題はありません。また、相当格調の高いお店でない限りドレスコードもありません。
 ただ、大声や騒音は禁物です。ダイニングバーであれば多少賑やかでも問題にはなりませんが、オーセンティックバーは静かにお酒を楽しむ場所ですので、この点は一般の飲食店と比べてだいぶ厳しいです。もちろん、両隣に話すぐらいの話し声であれば問題はありません。お店の邪魔にならない限りバーテンダーに話しかけるのも自由です。

酒を知らなければ任せてよい

 メニュー表を置いてないバーというのも多いので、ある程度お酒の知識があった方がスムーズにオーダーが進むのは事実ですが、別に知らなくても問題はありません。バーテンダーに任せてよいのであって、それで嫌がられることはまずありません。また、お酒に詳しくてもあえてバーテンダーさんに任せてみるというのはアリです。
 ただ、ぞんざいな任せ方ではいけませんので、どういう感じのお酒を飲んでみたいのか(爽やか/甘い/アルコール強め・弱め/オレンジ・グレープフルーツ・レモンを使う、など)を伝えるようにしましょう。

予算について

 チャージ(席料。取らない店もあります)込みで平均してカクテル1杯1,000円程度、名だたる高級店ならその倍といったところかと思います。
 もちろん年代物のウイスキーとかシャンパンなどはさらに値が張りますので、この辺りはまあ経験で覚えるしかありません。
 決して安くはありませんが、年に数回であれば無理はないでしょう。むしろ惰性で参加しているような飲み会の方を節制して、一人でもじっくりお酒を楽しむ機会を増やす方をおすすめします。

初めての方におすすめのカクテル

 バーといえばカクテルです。やたらと種類があって覚えきれませんが、初めてバーに行くのならこれらのカクテルをおすすめします。

ジントニック

 爽やかな香りと味わい、飲みやすさが特徴のカクテルです。最もポピュラーなカクテルの一つで、バーの顔ともいわれます。
 とはいえ、お酒を飲み始めのうちはジンの特徴的な風味が気になるかもしれません。マティーニやギムレットなどもジンをベースとしたカクテルですが、さらにアルコールが強く、なんとなく名前を知っているというだけで注文した挙句に持て余してしまうこともありますので、このカクテルで相性を判断してみるのがいいと思います。

バレンシア

 オレンジとアプリコットの優しく濃厚な甘みが楽しめるカクテルです。オレンジのカクテルというとスクリュードライバーを思い出す方も多いと思いますが、バレンシアはたいていショート(カクテル用の容積の小さいグラス)で出されますしアルコールも弱めなので、あまりお酒の強さに自信がない方、特に女性にはこちらをおすすめします。

チャイナブルー

 ライチとグレープフルーツの組み合わせによる甘みと爽やかさのバランス、そして特徴的な青い色彩が楽しめる定番カクテルです(真っ青に仕上げるお店とそうでないお店がありますが)。

おわりに

 30過ぎまでほとんど酒を飲まなかった自分がまさかこんな記事を書くことになるとは思いませんでしたが、それぐらいバーはいい場所です。都会だけでなく、地方の中小都市にも素晴らしいお店がたくさんありますので、ぜひ足を運んでいただきたいと思います。