ゲームの演出はスターブレードのようなものであってほしい

 またも昔話から。
 アーケード版のスターブレードが出たのは自分が高校の時でした。残念ながらかなり遠くのゲーセンにしか置いてなかったので、休日に友人と共に遠征して一度プレイしてみました。
 ポリゴンで表現された味方艦や敵前線基地などの映像は美しく、スケールの大きい作品だとは思いましたが、やはり地味な感じがしましたし、照準を合わせてレーザーを撃つという以外のプレイ要素がないのでゲームとしての出来もそれほどでもないかなと思いました。また、当時はスティールガンナーというこれまたナムコの傑作ガンシューティングがあり、そちらの派手で爽快な内容と比べるとどうしても印象が薄いように思われました。
 それからしばらく経ち、大学に入学した直後に、近くにあったゲーセンで見つけて改めてプレイしだすこととなります。中盤以降とても難しくなるゲームでしたが、連射装置が整えられると劇的に難易度が下がり、程なく1コインクリアできるようになりました。
 そこで改めて感じたのはやはり演出の素晴らしさです。スターウォーズのオマージュはまあお約束ですが、シーンごとの間の取り方や時折訪れる静寂も含め、映像作品として非常に洗練されていました。また、終盤の敵巨大母艦への突入、そして序盤からプレイヤーの前に立ちはだかってきたコマンダーとの一対一の最終決戦という一連の流れはゲーム史に残る名場面だろうと思います。
 とても気に入っているシーンがあります。敵母艦のコアに迫ったところで、それまで常に2機ずつ律儀に現れていたサブコマンダーが6機現れ乱舞するシーンです。ただ数が増えただけのことなのですが、まさに崩壊しようとしている敵軍の姿を象徴していてとても印象的でした。
 エンディングを迎えてプレイを振り返ってみても、次々現れる敵を撃って倒し勝利した、それだけのことです。葛藤も人間ドラマも一切ありません。しかし、確実にプレイヤーの胸に去来するものがあります。これこそゲームらしい演出だと感心し、今でも強く記憶に残っています。
 その後もしばらくいろいろなゲームをプレイしていましたが、少なくともアーケードゲームではこれほどの傑作に出会うことはなく、90年代後半できっぱりと足を洗ってしまいました。ずいぶんと時間とお金を使ってしまいましたが、アーケードゲームの全盛期に立ち会うことができ、こういうゲームに恵まれたことは大変幸せなことだったと思っています。


 …というわけで感傷に浸るあまりタイトルに見合った結論になっていませんが、いずれ最近のゲームはムービー的な演出が鬱陶しくて全然感情移入できず、もうちょっときれいにゲーム性と演出を両立させてほしいものだと思っています。完全にジジイの繰り言ですが;-o-)