そろそろ新年度になりますが、20年以上前に大学を卒業した私でもいまだに学歴のありがたさを感じることがあります。まあそこそこ有名な大学ではあるものの超難関大でもないですし、医学部のように具体的な資格が得られる学部でもないのですが、やはり出ておいて良かったと実感しています。
そもそも大学を出てないと選べない就職先がごまんとありますし、大学名だけでも一定の知的能力を持つものとみなされる、というのは大変重要です。卒業してから取ったテクニカルエンジニアなんかも試験としてはキツかったように思いますが、資格はその種の業界以外ではさほど評価されませんし、有力大学卒業に近い評価が得られる資格なんて医師、弁護士、会計士、税理士、一級建築士程度であって、それらも基本的にはそれらの学問を修めることで初めて取得可能になったり、評価されるというものです。結局、若いうちに学歴以外の手段で能力の評価を確立するというのは相当に困難だと思います。
もちろん、学歴がなくとも勤めた先で能力を示して評価を得るということは十分に可能です。私の身の回りにも大学を出なくとも活躍している人は多く、いずれも尊敬できる方々ばかりです。しかし、そのような方を見てやはり思うのは「この人たちがより高い教育を受けていれば、もっと違った人生があったのではないか」ということです。そしてやはり、それらの方々もほとんどは自らの子息を大学まで送り出しています。さらに言えば私の知る高卒、中卒の社会人の多くは彼らほど成功していません。身もふたもない言い方ですが活躍している人が目立ちやすいだけのことです。
それでも「社会に出れば学歴など関係ない」といった言説はよく見受けられます。ただ、こういう発言をするのはしばしば高学歴者であって、単に謙遜しているだけだったり、(いまさら)学歴によって特別視されたり周囲と摩擦が生じるのを避けたいだけだったり、あるいは「大学がすごいんじゃなくて俺がすごいんだ」という自負があったりします。
もちろん文字通りの本音である場合も多いでしょう。社会に出て何年もやっていれば学生生活の意味など相対的に小さくなっていくのは当たり前ですし、40歳にもなれば学歴が今の自分のあり方に影響していると思えない方がむしろ自然かもしれません。しかし、社会に出る初期の段階で学歴の支えがどれほど大きかったかを忘れるべきではないと思います。
また、「学歴がなくても人生には仕事力/コミュ力/良好な人間関係/精神的な美徳があればいいんだ」といった意見もよくみられますが、比較としてやはり適切とは言えません。基本的にはそうした様々な要素を一定として、学歴が加わることでプラスになるのかマイナスになるのかを論じるべきです。もちろんこうした発言が励ましになったりする場合もありますし、高い学歴を得るために何かが犠牲になっている人間も多いのではないかという指摘も一概に否定はできません。しかし不適当な比較論法はえてして人生の重要な目標を見失わせたり、他者の成功を否定することにつながり、害の方が大きいと感じています。
というわけで、40過ぎのくたびれたオヤジがそう思うぐらいですから;-o-)若い皆さんにとって学歴はやはり重要です。皆さんが自らの能力を社会に対して証明する手段は限られていますが、学歴はその中で最も広く通用し、実は有効期間も長いのです(知的能力に関わるものですので当然です)。この点を忘れず勉学に励んでいただきたいと思います。
あと何といっても大学は間違いなく中高の100倍くらい面白かったよ。