メディアへの露出が増えるとともに、独特すぎるキャラクター、そして史上初の中学生デビュー棋士としての長年の活躍によりますます注目を集めている加藤一二三九段のムック本です(発刊は2013年)。
構成は巻頭グラビア(1枚目が「膝立ち&ネクタイ長すぎ」写真です)、芸能界の将棋実力者として知られるつるの剛士氏との対談、将棋人生を振り返るロングインタビュー、ライバル棋士との数多くの対局から精選した自選好局解説などなど。
この手の本は基本的に初心者向けで、記録集とかエピソード集みたいな部分が多くインタビューなども取って付けたように内容が薄いものになることがあります。しかし、本書ではそれぞれのコーナーに十分なページを割いていて、きちんと本人の言葉でまとめているところが多いためなかなか充実した内容となっています。また、中原十六世名人が加藤九段との将棋を語るコーナーも貴重な資料かと思います。テレビでの加藤九段はただの「面白いおじさん」かもしれませんが、人生の60年を盤上の戦いに捧げた男としての生きざまを、ぜひ本書で知っていただきたいと思います。
ちなみに「ひふみん○×クイズ」のコーナーもありまして、ネタバレになりますが「対局中に駒を割った」「対局中にバナナを房からもがず直接食べた」「電動カミソリの充電を知らず、電池が切れるたび買い足していた」という伝説(噂)は本人により否定されています。ただ、対局中に盤が割れた(乾燥で自然にヒビが入ったようなものだそうですが)ことはあったそうです。
なお、加藤九段の著書「求道心」についてもこちらで紹介しています_ _)