アーバンワイドCMソングは矢野顕子かどうか問題

 21世紀も20年近く経過した今、夜中に一人でこんなことを考えているのはどう考えても世界で私だけに違いありません。
 それでもいいんです。とにかくモノはこれです。

www.youtube.com

 いやーいいCMですね。三田村氏も若いですし、全体に漂う気ままさというかゆとり感が、バブル爛熟期の気風を見事に思い起こさせます。私も若かったですし;-o-)
 90年代も半ばになってくるとテレビCMにも不景気の影がちらついてしまい、こういうムードがすっかり消えてしまったのが残念でなりません。

 というわけでCM全体を支えているのが独特のCMソングです。サウンド的にもなかなか好みなのですが、この歌が矢野顕子氏によるものなのではないかといまだに気になっています。音楽的な路線が違う感じですし発声も本人より特徴が薄い気がしますが、ところどころの雰囲気がなんかそれっぽいなーと思いつつ約30年、いまのところの私の結論は「確率1/4」です。知っている人がいたら教えてもらいたいですし、いいかげんに日立かどっかに聞くべきではないかという気がしますけども、せっかくなのでもう20年ぐらい悩んでいたいという気持ちがあるのも確かなのであります;-o-)

ナムコはそろそろF/Aを家庭用機に移植してはくれまいか

 相変わらず酒飲みながらYouTubeを見てましたところ、1年ほど前にアップされたこいずみ氏のF/Aクリア動画を発見。
 あえてリンクは貼りませんが200万点オーバーのノーミスプレイで、なんといってもラスボスで護衛機の破壊に成功しているのが見ものです。随分前のアルカディアのハイスコア欄で触れられていたので気になってはいましたが実際のプレイは初めて見ました。
 動画のプレイはラスボス出現時に左護衛機に撃ち込み火だるま状態にし(倒せない)、その後に画面外の右護衛機に撃ち込み離脱させ(ここで1000点入る。護衛機はいったん画面内に入ってくるがそのまま逃げる)、今度は画面外の左護衛機に撃ち込み離脱させ(1000点)、画面内に入ってきたところを撃破(5000点)、パラシュート回収、という流れです。最初の撃ち込みが必須だとしたら1機しか倒せなさそうです(そうでなきゃ最初からラスボス本体を撃ってるはず)が、細かいところはわからないものの興味深いプレイです。

 さて、F/Aを初めて見たときの印象は大変地味なものでした。サウンドは派手でしたがグラフィックが当時のレベルを考慮しても地味というか、お粗末の一歩手前に思えました。今見るとそこまで悪くないんですが1面の海の辺りが良くなかったかと。とにかくソニックブーム(セガ)を見た時と同じく「あ、これは移植前提のやつや。移植で違和感出ないようにこうしてるんや」と思ったのですが、結局ソニックブームと同じく移植されませんでした;-o-)近くのナムコのロケーションにも大量入荷されていたものの、あまり人はついてなかったのでやむを得ないところでしょう。
 でもやりこむと実にいいゲームです。対空対地撃ち分けという以外にコレといったフィーチャーもなくストイックではありますが、攻略を見ないと全く対応できないような理不尽さもありません。地道に敵のパターンを覚えて、特に地上敵にはうかつに正面に撃たせないようにして反撃することを徹底すれば少しずつ前に進めるようになります。
 ラスボスこそまともに強いですけども、あの緊迫感は格別です。さらに上級者には稼ぎ要素も用意されていて長く遊べるのもいいところです。あとバルカンで戦車をガコンガコンとなぎ倒すのが楽しいんです。たまに踏み込みが1mm足りなくて負けるのが楽しいんです。ノーミスで行ってラスボスに4発ボコられるのが楽しいんです;-o-)というわけで少数派かとは思いますがゼビウスに次ぐナムコの縦シューティングは何かと聞かれたらこれを推したいと思います。
 長くなりましたがあれから25年、A-JAXの移植が実現(PS4)したぐらいですからF/Aもそろそろ家庭用に移植されていいんではないでしょうか。実現のあかつきにはかつて実現できなかったノーミスクリアにチャレンジしてみたいですのでぜひ。

河口俊彦「羽生世代の衝撃 -対局日誌傑作選-」

f:id:accs2014:20171104111004j:plain:right:w210

 今日も竜王戦の中継に張り付いていますが、そんな中で羽生世代についての本を取り上げたいと思います。

 本書は2015年に亡くなられた河口氏によるもので、発行は2014年です。とはいえ内容は80-90年代の将棋マガジン誌の連載記事のまとめですので、当時購読されていた方にとって目新しい内容はないと思います。しかし、単なる棋譜解説ではなく対局者や周辺の棋士たちの様子を丁寧に、ドラマチックに描いていて臨場感のある内容となっています。また、将棋界や社会の動向にもちょくちょく触れていて、そこでもバブルに沸いた時代の様子や、有名無名さまざま棋士たちの人間模様が活写されています。この辺りが当時の将棋界を知らない私のような人間にはとても新鮮に映ります。
 取り上げられている対局は羽生、森内、佐藤、丸山、村山などの低段時代の対局がほとんどです。とはいえ若いライバル同士の対局も取り上げられていますし、順位戦C1級の剱持-羽生戦(剱持勝ちで、結果的に羽生の昇級を阻んだ)のような当時のファンとっては語り草のような対局も実に興味深いものです。

 しかし、もっとも盛り上がるのはやはり羽生と歴戦のトップ棋士との対局です。特に1989年、第2期竜王戦決勝トーナメントの大山-羽生戦は、著者自ら記しているように本書の白眉だろうと思います。
 今でいえば羽生と藤井(聡)が決勝トーナメントで当たったようなもので、出だしから並々ならぬ緊迫感のある文章が続きますが、この対局は終盤、羽生(先手)の決め手を見いだせない検討陣が次第に混乱していく中で劇的な幕切れを迎えます。

 いっぺん様子を見ようと、対局室に入ると同時に、▲6六銀が指された。
 数秒―――。背を丸めて盤面を見ていた大山が背筋を伸ばした。目を宙に泳がせていたが、次の瞬間、首がガクッと折れた。私は、巨人の最後を見たような気がした。6六銀が読めてなかったこと、すなわち負けを認めたのである。
(P127)

 河口氏はあとがきでもこの対局のことを「最高の思い出」と述懐しているぐらいですから、この着手に目の前で立ち会えたことはまさに終生の誇りだったことしょう。

 ところで、あとがきに次のような一文があります。

 それにしても、デビュー戦にマスコミが大勢集まる、なんていう光景はこの後あるだろうか。仄聞するところでは、名古屋に藤井聡太君という天才児が現れ、11歳で初段、奨励会初段の最年少記録を作ったそうだ。初段ではなんともいえないが、今の三段リーグはレベルが落ちているから、最年少四段の記録を作るかもしれない。

 見事に的中しました;-o-)
 将棋界の世代交代はすでに現実のものとして進行中ですが、藤井の出現により、それを一層劇的に印象付ける対局が現れるかもしれません。そんな予感というか、期待を抱かせずにはおかない一冊です。今だからこそおすすめの本です。