スカイファイター/ゴールキック/(メダル)ダービーキングほか実機画像

 第14回目。
 立命館大学ゲーム研究センターのサイトに、スペースインベーダーの開発者として有名な西角友宏氏への聞き取り調査をまとめた資料が公開されています。
 この中の「西角友宏第2回インタビュー前半」というのが、スカイファイター及びスカイファイターⅡ(エレメカ)に関するものとなっており、なかなか興味深い内容になっています。

www.rcgs.jp

 P31-32とかP42の辺りを見るとスカイファイター(Ⅰ)の存在/実稼働について再三問いただしているみたいになっててウケますけども、西角氏本人も「300台か200台出たんですかね」と言っているぐらいなので、実際に動いているのを見た人はかなり少ないのではないかと思います(ちなみにナイトストライカーが300台程度と言われています)。
 あとⅠが大きすぎて移動設置に困ったためコンパクトなⅡを作ったというのも面白いポイントかと思います。


 さて、その辺りを踏まえてご覧いただきましょう。ロケーションは和歌山県白浜温泉の朝日さんです(現在の「浜千鳥の湯 海舟」さんの位置にあった模様で、建物も経営体も異なるようです)。
 

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(朝日/和歌山県 クリックで拡大します)

 ちょっと隠れてしまっているのが残念ですが、右端にあるのがスカイファイター(Ⅰ)です。んー確かにデカいです。隣のダービーキング(タイトー/ビデオタイプの競馬メダル機)が割とコンパクトな作品とはいえ、多人数向けメダルゲームよりかなり大きく見えるあたり相当にデカいです。取扱いに苦労するのも致し方なしといったところでしょうか。サンダーセプターとかギャラクシーフォースみたいに単純にグレードアップとしてⅠがⅡに総入れ替えされたのか思ってましたが、思わぬ事情があったんですねえ。
 なお、中央やや右の四脚のマシンはゴールキック(セガ,1974)です。対戦型の単純なパドルゲームで、本格的なサッカーゲームにはまだまだ程遠い時代の作品です。その左はスーパースコープというプライズマシンです。このうちゴールキックについてはセガの公式ヒストリーにも掲載されています。

sega.jp

 あと左側には新幹線ゲームとかスピードレースっぽいものが写っていますけども、元の画質がこの程度なのでわかりにくいのが残念ですね。左端の両替機は100円を10円10枚にしてくれそうなのがよくわかるナイスデザインです;-o-)


追記:
 nazox2016様よりコメントいただいておりますように、右手前の3台のマシンのうち奥のものがセガのプロボウラー(1972)というボウリングゲーム(ピンボールではない)、手前のものが同じくセガのアリババ(1973)というピンボールとのことです。これは普段から頭に入ってないと出てきませんね。私も精進したいと思います;-o-)

(メダル)ニューペニーフォール実機画像

 シリーズ13回目。
 シグマ/クロンプトンのニューペニーフォールです。プッシャーと呼ばれるジャンルの代表的な作品です。
 念のため内容の説明ですが、多数のメダルが敷かれている平面上で、幅のある棒状の物体(プッシャー)が左右に往復しています。プレイヤーはメダルとプッシャーの隙間を狙ってメダルを落とします。するとプッシャーとプレイヤーが落としたメダルにより既存のメダルが押し出されます。そしてメダルがその先にある穴に落ちれば獲得できるという仕組みです。メダルがちょっとずつ押し出されて穴にはみだし、しかし落ちそうで落ちないという絶妙なスリルが楽しめる作品です。
 

 大ヒット作だけあってあちこちのリーフレットに顔を出しますので、今回は3か所まとめてご紹介します。
 まずは佐渡グランドホテルさん(営業中)。四角いウエハースのような独特な形状が印象的なホテルです。

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(佐渡グランドホテル/新潟県 クリックで拡大します)

 右奥のマシンが気になる写真ですが真っ白すぎてわかりません;-o-)
 なおペニーフォールについてですが同名の作品でビルボードの部分が虹のような絵柄になっているのもあり、そちらはⅡと呼ばれているようです。現役で稼働しているものは大半がそちらかと思います。
 
追記1:
 コメントをいただきましたように(追記2,3も同様)、ニューペニーフォールの手前にもう1台のマシンが置かれています。フジエンタープライズ製の競馬系マシン(ウィンターブックの類似機種)とみられるようです。


 続いて奥熊野の川湯ホテル浦島さんです(現在は山水館 川湯みどりやとして営業中)。
 文字通り川のほとりに建つホテルでして、現在はだいぶ大きな建物になってますが、当時のリーフレットと変わらずしっとりとした雰囲気が残っていてなかなか素敵なお宿です。

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(川湯ホテル浦島/和歌山県 クリックで拡大します)

 家族で単純に楽しめるゲーム性をよく表した一枚ではないでしょうか。
 メーカーも喜びそうな、いい感じの写真にしてくれるところがこの手のリーフレットの面白いところかと思います。
 なお窓際の一番奥に、緑と青の模様がついたマシンがちょっと見えますが、これはモンスターガン(セガ)のようです。

追記2:
 後ろに並ぶ5台のスロットは初期のパチスロ機であるニューオリンピア(メダルゲーム転用)で間違いないようです。
 また窓際のピンボールのうち奥のもの(プレイヤーがついている台)はバリーのトレイルドライブ、手前のもの(黄色っぽいドット柄のような部分だけが見える台)はウイリアムズのスーパースターという作品とのことです。これはマニアですねえ;-o-)


 最後は鳥羽のホテル松涛さんです。
 ミキモト真珠島の近くにあり伊勢湾を望む好立地でしたが、現在は廃業されているようです。

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(ホテル松涛/三重県 クリックで拡大します)

 これまたエエ感じですが、実は気になるのは右のマシンです。
 筐体の形状や色合いなんかは神風(フジエンタープライズ,1976)の見下ろし型タイプ(下記リンク参照)と同じで、奥のパネルも絵柄までほぼ同じです。しかし、パネルのタイトルが「AIR F……」と読めることと左上のフジマークがないこと、そして操作部の左端にあるのが3連ボタンではなくてスロットルレバーになっていることが異なっています。
 バージョン違い程度の類似品と考えて間違いなさそうですが、これ以上の情報が見当たりません。他のリーフレットでも3回ぐらい見かけているので出回りは悪くなさそうなのですけども、残念なことにいずれも写りが小さすぎるのです_ _)

flyers.arcade-museum.com

 ちなみに奥のホッケーについて。片側だけですがネットが装備されているあたりからセガのスピードホッケーの可能性が高そうです。

追記3:
 奥のピンボールのうち右から2台目はセガのテンプテーションという作品とのことです。
追記4:
 右側のマシンは「パール・デンキ」という会社の「エアーファイト」という作品のようです。nazox2016氏の記事内で紹介されているカタログに記載されています。

blog.goo.ne.jp

追記5:
 ピンボールの右端のものはウィナー(セガ,1971)ですね。スキャンし直したところ何とかわかりました。

(メダル)ハーネスレースほか実機画像

 シリーズ12回目です。
 場所は新潟県の瀬波温泉にありましたホテルすずきヶ池さんです。
 高台に位置するかなり大規模なホテルで、日本海の夕日鑑賞スポットの一つでしたが、2003年に廃業されているとのことです。

 往年の画像がこちら。

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(ホテルすずきヶ池/新潟県 クリックで拡大します)

 なんといってもハーネスレース(セガ)です。馬の模型(このゲームの場合は二輪の馬車)が実際にコースを周回してレース結果に基づきメダルが払い戻される、というタイプの始祖と考えられている画期的な競馬ゲームです。つまりロイヤルアスコットもザ・ダービーシリーズもGⅠクラシックも元をたどれば全てここにたどりつくわけであります。
 このマシンの意義と機能の詳細についてはこちらの記事をご覧いただきたいと思います。

blog.goo.ne.jp

 続いて左側のマシンです。左端がちょっと暗いのが残念ですが、順にモンテカルロ(セガ)、エアアタック(セガ)、グランプリ(セガ)、今回唯一のビデオでありますスピードレース(タイトー,1974)、nazox2016様にご教示いただきましたラッキーフラッグ(旗上げゲーム)、あとはTime80っぽいパチンコタイプのマシンが並んでいます。
 このうちグランプリについては、当時よく見られた投影型のレースゲームです。こちらに日本ゲーム博物館さん所有機によるプレイ動画がありますけども、同一機種かどうかはともかく何かこういうゲームをプレイしたな~という思い出のある方は多いと思います。

1969 セガ グランプリ 完璧プレイ - YouTube

 また、モンテカルロは模型の車を左右に動かしてライバルカーを避けるタイプのゲームです。これもタイトーのスピードランナーとほとんど同一ですけども、こうしたメカが表現できる世界というのは相当に限られていましたのでほぼ同一内容のゲームであっても「一つのジャンル」としてくくられるような感覚があって、特にパクリとか言われることはなかったと思います。まあメーカーの方はそんな寛大ではなかったでしょうけども。
 

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 ちなみにですが、同じリーフレットに記載されている館内マップです。
 建て増しを重ねてかなり複雑なつくりになっているのがわかります。上記写真のゲームコーナー(5階)が”第1”だったりするのがすごいですけども、まさに高度成長期の温泉リゾートという感じで興味深いところです。この辺りはゲーム趣味とは別に取り上げてみたいところでありますが、参考まで。